認知症の患者はね、二つのことを同時にできないんです。

きっと、湯を沸かしているときに、他のことに気持ちがいっちゃったんだなあ。そうするともう、薬缶を火にかけていることが頭から飛んじゃう。これからは、ガスの元栓を締めて出かけるようにしてください。

注意しても平然としてやってるやつだけど、これも基本的には同じことなんです。二つのことを同時にできない。つまり、相手の言い分に配慮しながら、自分の意見を言う。これは二つの異なる行為だから、できないんです。反省していないように見えるのは、病気のせいです。認知症の患者さんは、他人の話を聞かずに勝手なことばかり言う、わがままな人間だと思われてしまうが、そうじゃない。これはね、れっきとした病気の症状なんです

亀田医師が千紗子さんに説明している。

北國浩二著『嘘』(PHP 研究所、2011.7.22第1版第1刷)

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