浄土宗摂取山念佛寺とフォルクローレ

外郎売(ういろううり)りの科白(せりふ)」印刷用

二代目 市川団十郎

「分速280字で読む」や、 「分速400字で読む」のコーナーもご覧ください。

このページはアナウンサーや司会者のためのサイトhttp://www.mizumizu.jp/mc/mc/uiro.htmlウィキペディアの「外郎売」のサイトを参考に作成したため、漢字使用や表現で少しの差異があると思います。何かお気づきの点があれは「ご感想をお寄せください〜フォームメール」からお寄せ下さい。

拙者(せっしゃ)親方(おやかた)(もー)すは、御立合(おたちあい)(うち)御存知(ごぞんじ)御方(おかた)もござりましょー(カ゜)、お江戸(えど)()って二十里(にじゅうり)上方(かみカ゜た)相州(そーしゅー)小田原(おだわら)一色町(いっしきまち)をお過ぎ(おすキ゜)なされて、青物町(あおものちょー)(のぼ)りへ お()でなさるれば、欄干橋(らんかんばし)虎屋藤右衛門(とらやとーえもん)只今(ただいま)では剃髪(てーはつ)いたして圓斎(えんさい)名乗(なの)りまする。元朝(がんちょー)より大晦日(おーつコ゜もり)まで、お()()れまする()(くすり)は、(むかし)(ちん)(くに)唐人(とーじん)外郎(ういろー)云う人(ゆーひと)我が(わカ゜)(ちょー)()たり。(みかど)参内(さんだい)(おり)から、()(くすり)(ふか)()()き、 (もち)うる(とき)一粒(いちりゅー)ずつ、(かんむり)隙間(すきま)より取出(とりいだ)す。()ってその()を、(みかど)より「頂透香(とーちんこー)」と(たまわ)()る。 (すなわ)文字(もんじ)には、「(いただ)き、()く、香ひ(におい)」と()いて「頂透香(とーちんこー)」と(もー)す。只今(ただいま)では()(くすり)(こと)(ほか)世上(せじょう)(ひろ)まり、方々(ほうぼう)似看板(にせかんばん)(いだ)し、イヤ、小田原(おだわら)の、灰俵(はいだわら)の、さん(だわら)の、炭俵(すみだわら)のと、色々(いろいろ)(もー)せども、平仮名(ひらカ゜な)()って「ういろう」と(しる)せしは親方圓斎(おやかたえんさい)ばかり。もしや御立合(おたちあ)いの(うち)に、熱海(あたみ)か、塔ノ沢(とーのさわ)湯治(とーじ)にお(いで)なさるか、(また)は、伊勢(いせ)()参宮(さんク゜ー)(おり)からは、必ず門違(かどちカ゜)いなされまするな。お(のぼ)りならば(みキ゜)(かた)、お(くだ)りならば左側(ひだりカ゜わ)八方(はっぽー)()(むね)(おもて)()(むね)玉堂造(ぎょくどーづく)り、破風(はふ)には(きく)(きり)(とー)御紋(ごもん)御赦免(ごしゃめん)あって、系図(けーず)(ただ)しき(くすり)でござる。イヤ最前(さいぜん)より家名(かめー)自慢(じまん)ばかり(もー)しても、ご存知(ぞんじ)ない(かた)には、正真(しょーしん)胡椒(こしょー)丸呑(まるのみ)白河夜船(しらかわよふね)、されば一粒(いちりゅー)たべかけて、その気味合(きみあ)いをお()にかけましょう。

()()(くすり)を、かよう(かよー)一粒(いちりゅう)(した)(うえ)()せまして、腹内(ふくない)(おさ)めますると、イヤどうも(どーも)()えぬわ、()(しん)(はい)(かん)(カ゜)(すこ)やかに()りて、薫風(くんぷー)(のんど)より(きた)り、口中(こーちゅー)微涼(びりょー)(しょー)ずる(カ゜)(ごと)し、(ぎょ)(ちょー)(きのこ)麺類(めんるい)喰合(くいあわ)せ、その(ほか)万病即効(まんびょーそっこー)あること(かみ)(ごと)し。

さて、()(くすり)第一(だいいち)奇妙(きみょう)には、(した)(まわ)ることが、(ぜに)独楽(ごま)裸足(はだし)()げる。ヒョッと舌が(したカ゜)(まわ)()すと、()(たて)(たま)らぬじや(じゃ)。そりゃそりゃそらそりゃ、(まわ)ってきたわ、(まわ)ってくるわ。アワヤ(のんど)、サタラナ(ぜつ)に、カ(ケ゜)歯音(しおん)、ハマの(ふた)つは(しん)軽重(けいちょー)開合(かいコ゜ー)(さわ)やかに、アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロヲ。(ひと)へぎへぎ(へキ゜へキ゜)に、へぎ(へキ゜)()し、はじかみ、盆豆(ぼんまめ)盆米(ぼんコ゜め)盆牛蒡(ぼんごぼう)摘蓼(つみたで)摘豆(つみまめ)摘山椒(つみざんしょ)書写山(しょしゃざん)社僧正(しゃそーじょー)小米(こコ゜め)生噛(なまカ゜)み、小米(こコ゜め)生噛(なまカ゜)み、こん小米(こコ゜め)小生噛(こなまカ゜)み、繻子(しゅす)緋繻子(ひじゅす)繻子(しゅす)繻珍(しゅっちん)(おや)嘉兵衛(かへー)()嘉兵衛(かへー)親嘉兵衛(おやかへー)子嘉兵衛(こかへー)子嘉兵衛(こかへー)親嘉兵衛(おやかへー)古栗(ふるぐり)()古切口(ふるきりぐち)雨合羽(あまカ゜っぱ)か、番合羽(ばんカ゜っぱ)か、貴様(きさま)脚絆(きゃはん)皮脚絆(かわぎゃはん)我等が(われらカ゜)脚絆(きゃはん)皮脚絆(かわぎゃはん)尻皮袴(しっかわばかま)のしっ(ぽころ)びを、三針(みはり)針長(はりなカ゜)ちよと(ちょと)縫う(ぬー)て、縫う(ぬー)てちょとぶん()せ、河原撫子(かわらなでしこ)野石竹(のぜきちく)野良如来(のらにょらい)野良如来(のらにょらい)()野良如来(のらにょらい)()野良如来(のらにょらい)一寸先(いっすんさき)のお小仏(こぼとけ)に、お蹴躓(けつまづ)きやる(きゃる)な、細溝(ほそみぞ)にどじょにょろり。(きょー)生鱈(なまだら)奈良(なら)(なま)真名鰹(まなカ゜つお)、ちょと四五貫目(しごかんめ)。お茶立(ちゃた)ちょ、茶立(ちゃた)ちょ、ちゃつ(ちゃっ)()ちょ茶立(ちゃた)ちょ。青竹茶煎(あおだけちゃせん)で、お(ちゃ)ちゃつ(ちゃっ)()ちゃ。

()るは()るは、(なに)()る。高野(こうや)(やま)のお柿小僧(こけらこぞう)(たぬき)百匹、(はし)百膳(ひゃくぜん)天目(てんもく)百杯(ひゃっぱい)(ぼう)八百本(はっぴゃっぽん)武具(ぶぐ)馬具(ばぐ)武具馬具(ぶぐばぐ)()武具馬具(ぶぐばぐ)(あわ)せて武具馬具(ぶぐばぐ)()武具馬具(ぶぐばぐ)(きく)(くり)菊栗(きくくり)()菊栗(きくくり)(あわ)せて菊栗(きくくり)()菊栗(きくくり)(むぎ)(ごみ)麦塵(むぎごみ)()麦塵(むぎごみ)(あわ)せて麦塵(むぎごみ)()麦塵(むぎごみ)。 あの長押(なげし)(なが)長薙刀(なぎなた)は、()長押(なげし)(なが)長薙刀(なぎなた)ぞ。()こうの胡麻殻(ごまがら)は、()胡麻殻(ごまがら)か、()胡麻殻(ごまがら)か、 あれこそ(ほん)真胡麻殻(まごまがら)。がらぴいがらぴい風車(かざぐるま)()きゃがれ小法師(こぼし)()きゃがれ小法師(こぼし)昨夜(ゆんべ)(こぼ)して(また)(こぼ)した。たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽだっぽ一丁蛸(いっちょうだこ)()ちたら()()お、()ても()いても()われぬものは、五徳(ごとく)鉄灸(てっきゅう)金熊(かなぐま)童子(どうじ)に、石熊(いしぐま)石持(いしもち)虎熊(とらぐま)虎鱚(とらきす)(なか)でも、東寺(とうじ)羅生門(らしょうもん)には、茨木童子(いばらぎどうじ)腕栗(うでぐり)五合(ごんごう)(つか)んでおむしゃる、かの頼光(らいこう)膝元(ひざもと)()らず、(ふな)金柑(きんかん)椎茸(しいたけ)(さだ)めて五段(ごたん)な、蕎麦切(そばき)り、素麺(そうめん)饂飩(うどん)か、愚鈍(ぐどん)小新発知(こしんぼち)小棚(こだな)の、小下(こした)の、小桶(こおけ)に、小味噌(こみそ)が、小有(こあ)るぞ、 小杓子(こしゃくし)小持(こも)って、小掬(こすく)って、小寄(こよ)こせ。おっと、合点(がってん)だ、 心得(こころえ)田圃(たんぼ)の、川崎(かわさき)神奈川(かながわ)保土ヶ谷(ほどがや)戸塚(とつか)を、走って行けば、(やいと)()()く、三里(さんり)ばかりか、藤沢(ふじさわ)平塚(ひらつか)大磯(おおいそ)がしや、小磯(こいそ)宿(しゅく)(なな)()きして、 早天(そうてん)早々(そうそう)相州小田原(そうしゅうおだわら)頂透香(とうちんこう)(かく)れござらぬ貴賎群衆(きせんぐんじゅ)の、(はな)のお江戸(えど)(はな)()ろう、 あれあの(はな)()て、お(こころ)を、お(やわ)らぎやと()う、産子(うぶこ)()()(いた)るまで、()外郎(ういろう)のご評判(ひょうばん)、ご存知(ぞんじ)ないとは(もー)されまいまいつぶり、角出(つのだ)せ、棒出(ぼーだ)せ、 ぼうぼう(まゆ)に、(うす)(きね)擂鉢(すりばち)ばちばち桑原桑原桑原(ぐゎらぐゎらぐゎら)と、羽目(はめ)(はず)して今日(こんにち)()での何茂様(いづれもさま)に、()げねばならぬ、()らねばならぬと、(いき)せい()()り、東方(とうほう)世界(せかい)(くすり)元締(もとじめ)薬師如来(やくしにょらい)照覧(しょうらん)あれと、ホホ(うやま)って、う()ろうは、いらっしゃりませぬか。(1884字 終)